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祖先種+栽培種のハイブリットで広がる農業の可能性

この冬、日本は各地で大雪が降りましたが

世界でも干ばつや熱波など気候変動が原因の災害が

続いています。

 

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2月に発表した

最新報告書では、気温上昇が原因で引き起こされる

自然災害、食料供給難、健康被害、経済への打撃など、

深刻な影響がレポートされています。

 

パリに拠点を置くAFP通信社が提供するニュースサイト

AFPBB Newsより。

コメもコーヒーも希少に?温暖化から救うカギは野生の祖先種

 

気候変動に対して、農作物の多くは非常に脆弱で

その原因のひとつは長年にわたる品種改良にあるそうです。

特定の育成条件に適合させることで

農作物の収穫量が増えるように品種改良を行い、

美味しい作物を大量に栽培することができるようになりました。

・・・その結果、農作物は気候変動や環境の変化に適応する

潜在能力を失ってしまったようなのです。

 

世界20か国以上に研究拠点を持つ研究開発組織

国際ポテトセンターは

気候変動によりジャガイモとサツマイモの収穫量は

2060年までに32%減少し、コーヒーの栽培に適した土地は

2050年までに半減すると予測。

 

こうした事態に対処するために、野生の祖先種に戻って

遺伝子の多様性を再導入することが解決策のひとつと

して提唱されているそうです。

https://www.afpbb.com/articles/-/3370660?cx_part=related_yahoo

(AFPBB News 2021年10月19日発信 コメもコーヒーも希少に?温暖化から救うカギは野生の祖先種)

 

 

米どころ富山県では、農業生物資源研究所と

富山県農林水産総合技術センターが共同で

現在の米に古代米の遺伝子を組み込み、栄養価の高い米を栽培する

研究を行いました。

米の祖先種である古代米は現在の稲と比べて、背丈が低い、穂数が少ない、

倒れやすい、収穫量が少ないといった特徴があります。

醸造10-猪谷.indd (jst.go.jp)(「古代米」から稲の世界へ 猪谷富雄 j-stage)

 

この研究のポイントは、

・古代米として知られる紫黒米の原因遺伝子を特定

・約50品種の稲の遺伝子を調べ、紫黒米がいつ頃どの

系統で発生したかを特定

・この成果により、栽培されている白いお米の品種に

黒米原因遺伝子を導入することが容易になる

という3点。

お米の味や収穫量は現在のままで、紫黒米の特徴である

抗酸化物質等を含んだ健康に良いお米の育種が容易になるという

結果を発表しました。

https://www.naro.affrc.go.jp/archive/nias/press/2015/20150914/

(平成27年9月14日 国立研究開発法人農業生物資源研究所 

富山県農林水産総合技術センター プレスリリース要約)

https://www.naro.affrc.go.jp/archive/nias/press/2015/20150914/full_text.pdf

(平成27年9月14日 国立研究開発法人農業生物資源研究所 

富山県農林水産総合技術センター プレスリリース全文)

 

 

今後、祖先種から環境適応性に関わる遺伝子基板が見つかれば

温暖化に対応できる品種が生まれる可能性も・・・。

 

祖先種と栽培種のハイブリットに期待が高まります。

sunhopemailmagazine vol.33